WORKS 施工例

DETAIL

用途 住宅
面積 90.68m²
場所 神戸市中央区

SECTION

設計
家具デザイン

DESIGN PART ー 六甲の住居 ー

建築地は阪神間特有の山と海に挟まれた地域。坂の中腹にこの住宅はある。市街地中心部から車で5分程度の利便性を持ちながらも、周辺は閑静な住宅街が広がっている。この建築地の最大の特徴は南側に公園が隣接していることである。もともとNTTの社宅があった土地を7区画にミニ開発された一画で、敷地前方に、見下ろす形で公園があり、その向こうには小学校がある。そこで遊ぶ子供達の笑い声や、学校のチャイムの音が聞こえる、そんな空気がただよう場所である。公園の周囲には5mを超える高木が生い茂り、春になると満開に咲いた桜もみることが出来る。
光と風を存分に享受する住居には、魅力的な光を生み出すために影をいかに扱うかが大切だと考える。旗竿狭小地のこの土地に、公園と密接し、共存する住宅。旗竿地特有の路地のようなアプローチを通り、玄関の扉を開くと目の前に茶色の壁があらわれる。薄暗い空間の中に吹き抜けからそっと光が落ちてくる。視線を上げるとそこには空が見える。進む方向の先には緑色の壁に明るい光が訪問者をまるで誘うかのように映っている。コア部分の壁が視線を誘導し、空間の連続性と光のコントラストを生み出している。靴を脱ぎさらに進むと目の前の視界が一気に広がる。遠くには大きな空が広がり、窓の先には木々が生い茂り、都会の中にいることを忘れるようである。ナラ材の床板の足触りが心地よい。腰を下ろし、ぼーっとしていると南側の窓から柔らかい風と共に子供達の笑い声が聞こえてきた。2階に上がってみる。コア部分の細い脇を通って階段をのぼり、振り返ると部屋越しに桜の大木が見える。建築中に見た満開の桜を思い出す。春が待ち遠しい。ぐるっとコアを廻り込むとまた視線の先が広がった。空が近くなった。遠くにはビルも見える。コアが空間を連続させながらも、光と影のコントラストを感じさせる重要な要素であることを再確認した。
その土地、場所にとって重要な要素を絞り込み、シンプルに組み立てることで各々が強く結び付く。限られたスペースで構成される小住宅では特に大切なことであると考える。それが豊かなライフスタイルを送る大切なことであるとも考える。

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