DESIGN PART　ー 浸緑の家 ー

建築地は高台に造成された閑静な住宅街にある。西側道路と3mほど高低差があり、その向こうには六甲山系の山並みを望むことが出来る。南北に面した隣地の計画が決まっておらず、平面計画については30を超える数のプランのスタディをクライアントと行った。結果として閉じるところと開くところを明確に分け、日々過ごす景色の中に外部空間がより近い関係になるようにプランを考えた。庭を囲い込み、それぞれの場所から少しずつ違った風景を楽しみ、また外部空間を介して、他の内部空間との繋がりを感じることが出来る。特に、エントランス正面に設けたバルコニー下の軒下空間は南側の壁面を背にゆったりと腰を掛け、庭に響く水の音を聞きながら緑に浸り、また遠くの山の稜線を観てくつろぐことが出来る。四季折々の風景を感じることが出来るこの中間領域はこの家の核となり、住み手にとってはもちろん、この家を訪れる人々にとっても心にとまる安らぎの場となる。